ラグビー部のS井先輩のお通夜に参列した。浄土真宗大谷派のお坊様が来られたが、今回も葬儀の時にだけ呼ばれてくる、職業としてお経を上げるお坊様なのだろうと思っていた。どう見ても若いお坊様だし、仏教のあり方に批判的な私としては、S井先輩のために不満には思うまい、というような心境だった。

ところが、お経がものすごくお上手で、良く通る声で朗々と唱えられる。聞き惚れるとはこのことで、意味は全く分からないが、静かに耳を傾けて最後までお経を聞かせて頂いた。その後、お坊様が「少しお話をさせて下さい」と席を立って私たちの方を向かれた。

「みんなが自分のことを第一に考えると争いになるし、それが国同士なら戦争にもなります。だから、他の人のことを考えないと和は保てません」というお話から始まり、その後、S井先輩が大学ラグビー部で主務という役割を引き受け、グランドで戦う人たちのこと先ず考え、支えて来られたこと、この葬儀にしても自分で遺影を準備しておくなど、お子さんたちに負担をかけないようちゃんと計画し、手配されていたことを明かされた。如何にもS井先輩らしいと感心したところで、お坊様は「皆がこのような生き方をすれば素晴らしい世の中になる」と結ばれた。


どうせ、もっともらしいことを話されるだけだろうと予想していたから、お坊様がちゃんとS井先輩の生きざまや人となりを話されるのを聞いてすっかり感動してしまった。私の隣におられたK野先輩も下を向いて頷いておられたから、私と同じように感動されていたのだろう。お葬式に参列すると、ガッカリさせられるお坊様が多いが、今回は違った。これもS井先輩のご準備があったのだろうか。