同志社の今出川キャンパスでパスケースを落とした。3月10日、日曜日のことだ。急ぎ、小雨が降る中、来た道を戻ったが見付からない。30分後にはラグビー部のOB総会に出席する予定だったから、職員の方に教えられるまま、正門の門衛所に落とし物をしたことを伝え、OB総会の会場へと向かった。

翌日の月曜日、パスケースが出てきていなくてもショックは受けまいぞ、と半ば覚悟して門衛所に電話を入れたのだが、明るい声が返ってきて、「ありましたよ!清掃の方が見付けて、つい先程、こちらに届きました」とのこと。思わず、あ~、良かった~、と言ってしまい、慌てて有難うございましたという感謝の気持ちを伝えた。


このパスケースは三女が初月給の中からプレゼントしてくれたものだ。その気持ちが勿論嬉しかったが、三人娘の親としては何とか子供たちに対する責任を果たし終えたと思える修了証のように思え、以来、毎日肌身離さず持つようになっていた。

京都までパスケースを取りに行くのは大変なので、それは京都在住のラグビー部後輩、K合君にお願いした。忙しい中、彼は大学まで取りに行き、メッセージを添えて東京まで送ってくれた。社会では不安になる事件が相次ぐが、世の中には良い人や親切な人がちゃんといる。それを思い出させてくれる落とし物だった。