今年も沈丁花がきれいに咲いていた。それにしても、何という甘く切ない香り・・。出勤するのを止めて、今日は一日ここで眺めたり、香りをかいだりしていようかという誘惑にかられる。この沈丁花、英語では Daphne という。そして、Daphne はギリシャ神話に出てくる乙女の名前だ。
去年もギリシャ神話のことをブログに書いたから、さらっとおさらいすると・・
アポロンに「子供は弓矢で遊ぶな」と注意されて怒ったエロス(キューピッド)が金の矢をアポロンに、そして鉛の矢を河の神ペーネイオスの娘であるダフネに射る。金の矢は恋に陥る矢で、一方の鉛の矢は恋を拒む矢だから、アポロンはダフネに恋をしてその後を追い、ダフネはアポロンを拒否して逃げる日々が始まる。やがて、逃げ切れなくなったダフネは父親のペーネイオスのところへ駆け込み、「助けて下さい、お父様、私の姿を変えて下さい」と訴える。ペーネイオスがその願いを聞き入れると彼女の姿は変化を始め、足元から月桂樹の木になっていく。アポロンがやっと追いついたとき、ダフネは最後の心臓の鼓動を鳴らせているところだった。
何とも悲しい絵だが、成就しない恋は太古の昔からあり、そんなときにはアポロンとダフネに自分の身を重ねて慰めたのだろう。その神話を思い出すと、沈丁花のように甘く切ないダフネの匂いこそ、アポロンを射た金の矢だったのかなと思う。


