「青春の轍(わだち)」からコンサートが始まった。白のジャケット、黒のパンツというスタイルに赤の譜面ホルダーが見事に映え、コーロ・カステロが颯爽と見えた。


 

「村の乙女」も「手のひらを太陽に」もベテランの味。次に歌われた「トラン・ブーラン」はインドネシア民謡だが、元々の歌詞はあまりに突飛で放送禁止になったとか。そういう曲の説明を司会の方がユーモアたっぷりにされ、その合い間にメンバーに対しては「私が説明している間は座っていて良いですよ」と語り掛け、客席に向かっては「メンバーも高齢なので説明の間は休ませて頂きます。又、第一部は短い曲を意識して集めました」みたいなことをおっしゃるから、会場が一気に温かな雰囲気に包まれ、完全にコーロ・カステロの世界に引き込まれたように思う。

 

フォスター作曲の「草競馬」は躍動感があり、次のアフリカ系アメリカ人のブランド作曲の「懐かしのヴァージニア」は一転厚みのあるゆったりとした調べに変わったから、その趣きの違いが再びベテランの味を感じさせたように思う。又、「トラン・ブーラン」や「懐かしのヴァージニア」では独唱されるメンバーが一歩前に進まれたが、それを指揮者もピアニストも後ろのコーラスもみんなで支えようとされていることがこちらにまで伝わってきて、胸が熱くなった。

 

ポール・マッカートニー作曲の「Yesterday」は情感たっぷりの演奏で、こんな歌い方は「昨日」を振り返る必要のない学生には無理だと思ったし、「O Holy Night」も余裕を感じさせるコーラスで、司会者の予告通り、心が清められる思いがした。圧巻は「ホワイト・クリスマス」で、高嶋先生の歌声が素晴らしかったし、又、それを支えようというピアノも後ろのコーラスも本当に息が合っていて聴き惚れてしまった。司会の方が高嶋先生に代わり指揮をされたが、その前にサンタクロースの帽子を被られたことも会場を大いに和ませ、実に素敵な第一部となった。尚、ピアニスト宮下さん専属のフメクリストの姿が見えなかったので心配していたが、途中で登場された。ホッとした。


(続く)