ジャパン・クラシカ第10回定期演奏会を聴きに行った。最初にモーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲が演奏されたが、解説によるとモーツァルトが31才のとき、締切の前夜から書き始め、徹夜で仕上げた作品とのこと。序曲とは言え、波乱の展開を暗示する聴き応えのある作品だ。これを一晩で書き上げるとは、やはりモーツァルトは天才なのだろう。


そのモーツァルト作曲のピアノ協奏曲第23番イ短調をドイツから招かれたピアニスト、ペーター・レーゼルさんが演奏された。第1楽章はテニスボールが坂道を跳ねながら転がって行くような軽妙さ、一転、第2楽章は静かだが悲しみや不安を感じさせる重々しさ、そして、再び軽快なリズムに戻る第3楽章は全身で喜びを表現するような躍動感があり、同じピアノで良くこんなにも違う情景を描けるものだと感心した。
そして休憩の後、ブラームスの交響曲第1番ハ短調が演奏された。ブラームスのことも、交響曲第1番のことも知らないから、一体どんな曲で、どういう演奏になるんだろうとワクワクしながら聴いたが、第1楽章から第4楽章までそれぞれに特徴があり、ゆっくりコース料理を頂くような満足感があった。
第1楽章はピタリと揃っている絃楽器が見事で、高音のバイオリンや低音のコントラバスを聴いている内にどんどん感情が高まってきた。第2楽章はゆったりと進み、あれはクラリネットなのか、笛の音色が大変美しく、うっとりした。第3楽章は弦楽器のピチカートが出てきたり、大胆にリズムが変わる箇所があったりして、私には新鮮なサプライズとなった。
そして第4楽章だが、何かが近付いてくる足音のようなものを感じていたところにティンパニーが鳴り響いたので、「出た~!」という感じに私はなってしまったが、その後、聞いたことのあるテーマが流れ、リズムが変わり、壮大な響きの中でエンディングを迎えた。
素晴らしい演奏だったと思うが、メンバーの一人ひとりがのびのびと演奏されているように見え、こんなに難しい曲ではないのにのびのびと弾けない自分自身のことを思い、アカン、まだまだ練習が足らん、と反省しながら会場を出た。