滋賀県能登川にある「止揚学園」の園長さん、福井 生さんが書かれた本だ。止揚学園は知能に重い障害を持つ人たちが共に暮らす家で、福井さんのご両親がそこで働いておられたことから、福井さんもそこで生まれ、障害を持つ人たちと一緒に育っておられる。
福井さんも、そのお父様も同志社の神学部を出ておられ、そんな関係からか、止揚学園の存在は同志社中学時代の恩師から教わり、以後、僅かだが毎年クリスマスに寄付をさせて頂いている。そんなご縁から福井さんの講演を東京で聞く機会があり、この春に出版された本も買わせて頂いた。
本には18のエピソードや人物が出て来るが、読み進むにつれ胸が締め付けられ、目頭が熱くなるのを感じた。関西学院大学の藤井美和教授が学生たちと止揚学園を訪れたときのことを「推薦の言葉」の中に記しておられるが、それが良く分かった。そのまま写させて頂く。
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「言葉にできない」、「ヤバイところに来てしまった」。昨秋、学生たちと久しぶりに訪ねた止揚学園で、その帰り際、彼らが涙しながら語った言葉です。学生たちの見た止揚学園は「障害者施設」ではなく「あたたかい家」でした。私たちは施設の見学者ではなく、お家を訪ねたお客様としてあたたかく迎えて頂きました。食前の祈りを共にし、そば打ち師匠のおそばに舌鼓を打ち、一緒に語り、歌い、楽しいひとときを味わいました。そして帰りには、止揚学園の仲間全員が外に出て、寒い中、一生懸命手を振って見送ってくださいました。「またきてね~」と見えなくなるまで。
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本を読むだけで学生と同じ気持ちになった。多分、止揚学園で暮らす人たちは、私たちをそのまま受け容れてくださる人たちで、私たちはそれを知っているくせに、普段はそういう方々の存在そのものを心の奥底にしまい込み、忘れようとしているのだろう。
