パレスチナ自治区のガザにある美容室が舞台だ。最初に登場するのは「外に出たい」と訴える少女だが、母親である美容室の店主はそれを許さない。外には銃を持ち、ライオンを犬のように連れ回す物騒な男たちがいるからだ。美容室の店員はその男たちの一人と付き合っているが、彼女の母親や店主は別れろと反対している。

 

やがて、客として来ている女性たちにもそれぞれ問題や悩みのあることが分かってくる。離婚調停中の主婦は雇った弁護士とのデートを控えているし、戦争で負傷した夫と暮らす女性はヤク中だ。中には今夜結婚式を挙げる予定の目出度い女性もいるが、実母と義母は仲が良くない。そんなややこしいところに臨月の女性が加わり、更に混沌とした状況の時に停電騒ぎが起こる。ガザでは電気やガソリンも不足しているのだ。再び女性たちのお喋りが始まった時、外から銃声が聞こえ、戦闘が始まったことが分かる。女性たちは狭い美容室に閉じ込められてしまうのだ。



 それでも尚、女性たちは現実を受け容れ、戦いを繰り返す男たちのへの抵抗を示すかのように美容室の中で口紅を塗ったり、花嫁になる女性に化粧を加えてウェディングドレスを着せたり、臨月を迎えている妊婦を気遣いながら戦闘が終わるのを待つ。しかし、各々の緊張感や不安、不満が募り、遂に女性同士の諍いが起こってしまう。その時、閉められていた美容室のシャッターが外から叩かれ、「中に入れてくれ」という男の声が聞こえてくる。シャッターを開けると美容室の店員が付き合っている男が負傷して倒れていた。


男を店内に収容し、緊迫した時間が流れるが、そこに戦闘を制圧した政府軍がやって来る。開けろと命じる政府軍に対し、ここには女性しかいない、開けられないと言い返す女性たち。しかし、シャッターがこじ開けられ、負傷していた男は政府軍の男たちに連れ去られてしまう。炎上する車、軍車両や消防車のサイレン、そして男たちの怒声で騒然とする広場が映し出され、映画は終わる。


ハリウッド映画に多いハッピーエンドとは程遠いが、負傷した男を美容室の中に収容した瞬間から女性たちが諍いを止めて団結し、外にいる男たちに反抗したことが救いだったように思う。あの団結こそ、女性が本能として持っている母性愛の賜物ではないか。美容室の中にいたのが男ばかりだったら、あの力強い団結はなかったように思うのだ。又、花嫁が結婚式に間に合ったかどうか、臨月を迎えていた女性が無事だったかどうかが気になるところだが、だとしたら、あなたは何をすべきだと思いますか、という監督からの問い掛けのように感じた。


平和はありがたいものだ。終戦記念日の今日だから、尚一層そう思う。