なぜ頭をガツンとやられるほどの衝撃があったかと言うと、私の回りで「景気が悪い、モノが売れない」という声が出る度に、私は「音を立てて人口が減っているんですから・・」と人口減による需要縮小を理由にしてきたのだが、そうではなく、消費者の考え方、生き方が変わったのだと気付かされたからだ。人口は減っても消費そのものは大きく減っていない。消費者は買うものと買う場所や方法を変えたのだ。

内野さんがおっしゃる通り、ボランティア活動に参加する人が増えたり、寄付や省エネで弱者や環境に対する責任を果たそうとする意識が芽生え、一般化してきている。みんな自分の生活に本当に必要なものは何かを考え、自分の消費生活全体を深く見直し、どう生きたいと思っているのかを各々が自分に問い掛けたのだろう。

私の勤務先で好調なブランドの一つは、正に「こういう生き方をしています」というデザイナーの生きざまや思想を色濃く反映したもので根強いファン層を持っている。恐らく、そういう生き方を志す人にとってはアパレルブランドというよりライフスタイルのお手本なのだろう。消費者は正直だから、逆にその支持を失ったと思ったら、一旦「お客様、閉店です」と言える勇気を持とう・・それが内野さんの助言なのかも知れない。

本の最後に内野さんと3名の企業経営者との対談が出てくるが、その中の一人、良品計画の金井会長は戦後間もない新潟で撮られた家族写真を見て、子供たちの表情に謙虚さ、素直さ、我慢強さを感じ、目には希望を見たとおっしゃる。そして、当時のGDPが8兆3800億円だとすると今はその59倍の490兆円もあるのに、子供たちは傲慢で忍耐力がないし、それは大人にも言える、と嘆いておられる。その通りだ。私の表情には謙虚さがあり、目には希望があるかどうか、怖いけど毎朝確かめるようにしよう。