オペラ歌手、田村麻子さんのコンサートに出掛けた。「オペラ魅惑のヒロイン達」とパンフレットにもある通り、田村さんがさまざまなオペラに出てくるヒロイン10人を演じて歌われた。
プッチーニ作曲「ジャンニ・スキッキ」のラウレッタに始まり、ベッリーニ作曲「カプレーティとモンテッキ」のジュリエッタ、グノー作曲「ファウスト」のマルグリート、ヴェルディ作曲「椿姫」のヴィオレッタ・・と続いて行く。物語の場所も時代も異なるし、その中に登場してくる10人のヒロインは年齢も性格も環境も違う。例えば、「ジャンニ・スキッキ」のラウレッタは恋する純情な乙女だが、「椿姫」のヴィオレッタは求愛に心を揺さぶられる高級娼婦だ。
そんな違いを田村さんは見事に演じ分けられた。ステージ上での佇まい、手振りや身振り、そして歌に込められた感情が、そのヒロインそのものだったのだと思う。歌唱力が群を抜いているのは確かだか、それだけではなく、さまざまな感情や生きていく上での喜びや苦しさを田村さんは理解されているのだろう。見事だった。
共演の橋本恵史さんも素晴らしかった。各々のオペラの時代背景や登場人物、そして田村さんが歌う曲の意味や曲に込められたヒロインの気持ちをある時はユーモラスに、ある時はシリアスに語られ、私のようなオペラ初心者でも田村さんの歌を心して聴けるよう誘導下さった。このコンサートの形には欠くべからざる方なのだと思う。
何名かの方にご案内したコンサートだったが、オペラ初心者の方にも、オペラが趣味という方にも評判の良いコンサートだった。その理由は、やはり田村さんの歌が期待以上に素晴らしかったからだろう。次のコンサートにも行きたいと思う。
