先日、同志社東京校友会主催の「春の集い」が都内のホテルで開催され、600名を超える校友が参加した。ゲスト・スピーカーは裏千家 第15代前家元 千 玄室 大宗匠で、95才とはとても思えないお元気な姿で登壇されると、同志社に進学されることとなった経緯や、その後、学徒出陣され、海軍航空隊の特別攻撃隊(通称・特攻隊)に志願し、間もなく出陣というところで終戦を迎えられたというお話を、時にはユーモアをまじえ、時には真剣な眼差しでお話になり、私など話に引き込まれ、すっかり魅了されてしまった。


講演中の千 玄室 大宗匠

 

勉学優秀だった千 玄室さんは府立一中への進学を考えておられたが、ある日、お父上から「同志社で学べ」と命じられたとのこと。その際、お父上にこう抗議されたらしい。

 

「当家は代々禅宗です。それが、なんで、耶蘇(ヤソ)教の学校に行かなあきまへんのですか」

 

まさか千 玄室さんから「耶蘇教」という言葉が出て来るとは誰も想像しておらず、会場からどっと笑いが起きた。その後、千 玄室さんが説明されたところによると、茶道が女子教育に有用だと考えられた新島八重さんが裏千家第13代(先々代)の家元に入門されたことから、裏千家は同志社とのご縁ができたらしい。

 

一方では、特攻隊の仲間がいよいよ出陣というときにお茶を振る舞ったというお話や、今日、会場に来る前に靖国神社に立ち寄り、平和のためにこれからも尽くすと仲間に約束してきた、というお話をされ、戦争とは生きる人々の夢と人生を奪うものであること、それを知っている以上、最後まで平和のために尽くすという千 玄室さんの決意がストレートに伝わってきて、胸が熱くなった。

 

約30分ほどのお話だったが、聞き終わった後は心がポカポカして明るく優しい気持ちになっていたから、私は千 玄室さんにお茶ではなくお話を振る舞われ、おもてなしを頂いたのだと思った。ちなみに、裏千家のホームページには、「茶道とは『もてなし』と『しつらい』の美学」と書いてある。やっぱり。