東欧には当時のソ連を嫌う人々がいたようで、面と向かって逆らえない分、小話でロシア人をからかっては溜飲を下げていたようだ。そんな小話がいくつか披露されていた。

 

【ポーランド】

 

ワルシャワの中心に「文化宮殿」という名前のエンパイアステートビルのような摩天楼がある。ソ連がポーランドに寄贈した建築物だ。俗にスターリン・ゴシック建設と呼ばれる施設だ。

 

あるロシア人観光客がワルシャワにやってきてポーランド人に質問した。

「ワルシャワで最も美しい場所はどこか」

ポーランド人は間髪を入れずに

「もちろん文化宮殿の上からの景色だ」

と答えた。

 

ロシア人はソ連が寄贈した施設がこれほど高く評価されていると思っていなかったので、とても驚いた。ポーランド人が反ソ的でロシア人を嫌っているというのはアメリカのプロパガンダだということが良く分かった。そこで、ロシア人は「どうして文化宮殿の上からの景色がそんなに美しいのか」と尋ねた。ポーランド人はこう答えた。

 

「それは、あの文化宮殿のグロテスクな姿が見えないからだ。」

 

【ハンガリー】

 

あるとき、モスクワを訪れたハンガリー政府代表団が「我が国にも海軍省は必要なので認めてくれ」とソ連政府に要請した。ソ連政府高官は首を傾げて「ハンガリーには海がないじゃないか。それなのになぜ海軍省が必要なんだ」と尋ねた。

 

これに対し、ハンガリー政府代表団はこう答えた。

「ソ連にだって文化省があるじゃないか。」


気の早い紫陽花が咲き始めていた。季節は巡る。