井の頭自然文化園の中に彫刻館があり、長崎の平和祈念像を制作された彫刻家、北村西望さんの作品がズラリと並んでいた。
特に心惹かれた作品が2つあった。先ず、「大根とねずみ」。
大根の葉が風に揺れ、大根の上にいるねずみが今にも動き出しそうで、その精緻な出来栄えに感心した。
もう一つは「加藤清正像」だ。賤ヶ岳七本槍の武将らしく長い槍を握り、堂々とした佇まいでこちらを睨んでいるように見えた。
ねずみの中にも、加藤清正の中にもエネルギーを感じたのは、作者の思いが詰まっているからか。
1944年、敗戦色が濃くなった戦局の下、陸軍省から武器製造のための銅像供出が求められるが、北村さんは「銅像救出委員会」を組織して反対運動を起こされたらしい。なかなか骨のある芸術家だったようだ。
その北村さんは長崎のご出身のようだから、5年を掛けて制作された平和祈念像に込められた思いは切実なものだったろう。

