大蔵流の狂言方、善竹十郎さんが二人の息子さんと共に年に一度、駒場にある日本工業大学駒場中学・高校の百周年記念ホールで、生徒さんやそのご父兄、近隣の住民を対象に無償で狂言の会を催しておられるとか。今年、第7回を迎えられたという「日駒狂言会」にお邪魔した。


開演に先立ち、ご長男の善竹富太郎さんが狂言について解説をされた。ユーモアを交えてのお話に観客席から何度も笑いが起きたが、狂言について何の知識もない私には大変勉強になるお話だった。

すなわち、狂言は日本一古いお笑いの演劇で、650年前の室町時代から能と対をなして受け継がれてきた伝統芸能である。能には面を付け、ビブラートの効いた声で演じるこの世のものではない者が出てくるから緊張感を伴う。一方の狂言は、その緊張を緩和する笑いを追及したもので、いつしか能とは切り離され、単独で演じられるようにもなったとか。いつの時代も人々は笑いを求めているということか。

又、舞台は一つで大きくもないが、さまざまな場面に切り替わるし、朝昼晩にもなる舞台だから、そこには観客の想像力が必要とのこと。「平たく言いますとね、ボルネオさん、あなたの知性が問われる訳です」と言われたようで、ちょっと弱気になってしまった(笑)

善竹十郎さん、二人の息子さん、そしてご一門方々が演じられたのは「膏薬煉(こうやくねり)」と「素袍落(すおうとし)」という二つのお話だったが、いずれも演じる方々の声が良く通り、その動作が滑稽で面白く、知らず知らずの内に舞台に引き込まれ、楽しく観賞させて頂いた。楽しめたのは私も想像力をふくらませることができたからで、私にも相応の知性があったということだろう。やれやれ(笑)