一昨日は「貯蓄の日」だったが、昨日は「統計の日」だったようだ。統計と聞いて思い出すのは、大学でお世話になったT先生だ。T先生は統計学の先生で、先輩の薦めもあり、私はT先生のゼミに入れて頂いた。ところが、ラグビー部を応援下さる先生が多かったことから大いなる勘違いをしていた私はT先生の授業を連続してサボってしまう。ある日、帰宅すると、先生から電話があったと母から聞かされた。先生の研究室に来るように、との伝言だった。

T先生と向き合うと、先生は淡々と、しかし、厳しい言葉で私を叱責された。間違っていたのは私の方だったから一言も反論できず、私は黙って先生のおっしゃることを聞いた。最後に、先生は私が考え方と行動を改めるならゼミに残すがどうする、と尋ねて下さった。私は立ち上がって深々と頭を下げると、お願いします、と答えた。それからは一度もゼミをサボることなく、真面目に自分の研究課題に取り組んだが、実はT先生の講義である統計学の授業だけは何故か身が入らず、恥ずかしながら試験を百点満点の10点で落としてしまった。T先生のゼミ学生で統計学を落としたのは私だけだったろうが、私も大学の四年間で落とした授業は統計学だけだ。

そうこうする内に就活が始まり、私は丸紅の入社試験を受けることになった。人事の方から推薦状の提出を求められたので、それをT先生にお願いした。先生は短く「分かりました」とおっしゃったが、このときばかりは統計学の授業を落としたことを後悔した。しかし、先生は約束通りに推薦状を書いて下さり、私はそれを提出し、無事に入社試験を受けて何とかパスし、晴れて社会人になれた。

入社後、人事の方から意外なことを聞かされた。T先生が推薦状で私のことを細かく具体的に褒めて下さっていたというのだ。推薦状を何百通と読めば、それがひな型通りのものか、又はその学生のためだけに書かれたものかは分かる、そう人事の方はおっしゃり、「君は素晴らしい先生に恵まれたね。先生に感謝しなさい」と言われた。T先生、ありがとうございました。それから、統計学の授業を落としてすみません!