北大合唱団の東京OB会が25年前に組織されたクラーククラブが10回目のコンサートを催された。
第1ステージで歌われた「草野心平の詩から」という男声合唱組曲は、草野心平の詩にタダタケなる愛称で呼ばれる多田武彦さんが曲を付けられたものとのこと。初めて聴く曲だったが、生真面目でどこか孤独な男の後ろ姿を思わせる演奏で素晴らしかった。
第2ステージはグスタフ・マーラー作詞作曲の「さすらう若人の歌」が演奏されたが、マーラーが自身の失恋から作った歌らしく、メロディーにも歌詞にも(ドイツ語で歌われたが、日本語訳が添えられていた)「男の純情」が感じられ、マーラーの心の痛みが伝わって来るようだった。
第3ステージは「J POP」がテーマで、井上陽水の「夢の中へ」や長渕剛の「乾杯」が歌われたが、指揮者の方が「松田聖子さんのヒット曲なので、我々が歌うとどうなることやら」とおっしゃっていた「瑠璃色の地球」が予想以上に良かった。歌詞に出てくる純な女性の思いに男の純情が見事に応えたのかなと思う。それから、加山雄三の「海 その愛」は豊かな海を思わせる歌声でとても良かったように思う。
圧巻は第4ステージの「唱歌の四季」で、「朧月夜」は滑らかな転調に余裕と余韻があり、ため息が出そうになった。「茶摘」はきれいに歌い上げられ、日本語はこんなにも美しいものなのかと感じ入ってしまった。「紅葉」に至ってはリズムもテンポも音の強弱も見事に調和していて、その中で唯一、ピアノの伴奏が絶妙のアクセントになっていた。「雪」はリズミカルな各パートの掛け合いが楽しく面白く、知らず知らずの内に一緒に口ずさんでいた。最後の「夕焼小焼」は無伴奏で始まったが、柔らかなユニゾンで歌われたところで痺れてしまった。本当に素敵だった。日本の美しい風景が目に浮かび、日本語の美しい響きに心癒されたように思う。
