ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル(NYSE)による伊藤忠サマーコンサートが今年も催された。元々は伊藤忠本社のロビーで開かれていたものだが、年々、聴衆が増えて収容し切れなくなり、一昨年と昨年はサントリーホールで、今年は東急Bunkamuraのオーチャードホールで開かれることになった。

 

 

もう10回近く、コンサートにはお邪魔させてもらっているが、毎回何かしら新鮮なサプライズがある。今回はウィリアム・ハキムさんの「ビオラ演奏」に驚いた。ブルッフ作曲の「ロマンス作品85」という曲だったが、ビオラの音色はバイオリンよりも厚みがあって柔らかで、聴いている内に何か大きくて優しいものに包まれるような気がしてきた。普段はあまり目立たないビオラだが、バイオリンとチェロを後ろに従え、堂々たる演奏だったと思う。

 

もう一つはサプライズではなく、私の大好きな曲が演奏された。バーバー作曲、「弦楽のためのアダージョ作品11」だ。これを聴くと胸が締め付けられ、救いのない悲しみのようなものを感じる。曲の中盤にチェロとビオラ、これにバイオリンが加わって音程がどんどん上がって行き、まるで悲しみが頂点に達するかのように感じさせる個所があるのだが、その後、曲は再び静かな旋律に戻る。それを聴く度に、どんなに深い悲しみにも終わりがある・・・そう神様から言われているような気がしてくる。

 

最後に、今回も地元の高校生との共演が企画されており、國學院高等学校吹奏楽部の生徒さんたちとNYSEにより、ホルストの「ジュピター」とアンコール曲となったエルガーの「威風堂々」が演奏された。どちらも素晴らしい出来で、高校生たちのひたむきさがそのまま演奏に出ていたように思う。又、高校生たちが真面目に取り組むと、それがNYSEにも伝わるのか、一体感のある熱演となり、演奏終了と共に大きな拍手が湧いた。