お取引先に喫煙具を取扱っておられる老舗企業がある。最近はオフィスを全面禁煙にされている会社が多いが、このお取引先は社長室を喫煙できるようにされている。商談中も、端正な顔立ちの三代目社長が「失礼して良いですか?」と訊ねた上で煙草を吸われたりするが、喫煙者であるお客さまのお陰で成り立っている企業だからそれも当然だろう。

 

さて、先日そのお取引先を訪問したところ、社長が内線電話で社員の方に「○×▲×○を持って来てくれますか?」と指示されるのが聞こえた。何が来るのかなと思っていたら、茶色の小箱が社長室に届いた。ひょっとして・・・・

 

 

社長が木箱を開けられると、中に葉巻が何本か入っていた。聞けば、キューバの高級葉巻とのこと。映画やドラマで見たことはあるが、実物を見るのは初めてだ。何だかドキドキしてきた。

 

 

社長から勧められるまま葉巻を一本手に取った。思ったより硬くて太い。もの珍しくて指に挟んだり、香りを嗅ごうとしたりしていたら、社長から「吸ってみますか?」と訊ねられた。禁煙して9年になるから、煙草ならお断りすることろだが、これは未経験の葉巻だ。好奇心を抑えることができず、オウム返しに「はい」と答えた。

 

 

「では、練習用の葉巻をご準備します」と社長が葉巻の収納棚から葉巻を一本取り出された。興味津々で見る私。と、社長は先ず吸い口に専用カッターで「V」字カットを入れ、そして、葉巻の先端をライターの炎で炙り始められた。やがて先端の丸い表面が黒く均一に焦げたのを確認されると、社長は葉巻を口にくわえ、ライターの炎を先端に近付け、静かに葉巻を吸われた。「こうすると楽に火が点きます。紙巻き煙草のようにいきなり火を点けようとすると、葉巻の一部だけに火が点いたり、強く吸うことで葉巻の温度が上がり過ぎたりして味を損ねます」とのこと。おお、これは奥が深そうだ。

 

 

そして、いよいよ、私の「初・葉巻」が始まった。煙を肺には入れず、口の中に留めたものを静かに吐き出す。思ったより香りが強い。初めて煙草を吸ったときの味がしたように思うが、呼吸のリズムで何度か吸って吐いていると、とてもゆったりした贅沢な気分に浸れた。気持ちの上では「アル・パチーノ」だったのだが・・・

 

 

ちょっと違うか(笑)