「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」
ビートたけし(北野武さん)の言葉だと思うが、何と上手いこと言うんだろうと感心した覚えがある。集団でいるだけで心強く思ったり、乱暴なことができてしまったりする群集心理を鋭く突いたもので、周りの人たちも「分かるなぁ、そう思うときが俺にもあるもん」と照れながら言っていた。
この言葉が有名になった漫才ブームは1980年代のことだと思うが、当時は日本の経済も成長を続け、私の勤務先も年々売上を伸ばし、ベースアップと呼ばれる基本給の上方見直しが毎年あった。今から思うと恵まれた時代だが、次々にやって来る仕事を如何に速く、正確に処理できるかが重要だったように思うから、「赤信号でもこのメンバーならリスク承知で渡ろうよ」という協調性や強い仲間意識を持った人が好まれ、チャンスを与えられ、そして活躍もできたのかなと思う。
しかし、これからの時代はどうなんだろう。情報が溢れる割には予測できなかったことが頻繁に起こるし、過去の成功体験が役に立たないどころか足を引っ張ることまである。何と難しい時代を迎えているのかと思ってしまうが、こういう時代に必要なのは各々が深く考え、思うところを率直に述べ合うことかなと思う。ひょっとすると、マイノリティの意見や考え方の中にもハッとさせられるものがあるかも知れない。
ロックな詩人ツヨシさんの作品だが、これも上手いこと言うなあと感心した。自分が自分でいるためには、「赤信号 みんなが渡っても 俺は渡らん」という勇気や意地が必要だろう。さて、私は持てるだろうか。
