本屋で立ち読みを始めたら、著者の玉木俊明さんが同志社大学のご出身だと分かった。しかも、私よりお若い方だ。そうと分かれば、買わないのは失礼だ。直ぐに購入して読み始めた。

 

 

「農耕生活は人類史上最大の失敗?」

 

なかなかセンセーショナルな言葉が出てきたが、要は、ギリシャとトルコで発見された骨格から、氷河期末期の1万年前に狩猟採集民として暮らしていた男性と女性の平均身長がそれぞれ180cm、168cmであることが分かり、農民として3000年前に暮らしていた男性(同162cm)や女性(同152cm)より大きかったことが判明したのだ。

 

それまでは、毎日新しい食料を見つけないと生きていけない狩猟採集民の方が栄養状態が悪いと思われていたから、これは実に意外な発見だったのだ。結局、初期の農業では一種類か二種類の農作物しか手に入らなかった農民よりも、狩猟採集民の方が多様な食料から十分な栄養を取っていたということらしい。

 

更には、保存できる農作物だけに、持つものと持たざるものの間に貧富の差が生まれ、又、農業により人々が密集して住むようになったことから寄生虫や伝染病が一気に広まってしまう環境にもなってしまう。しかし、それでも私たちの祖先は農民の道を選び、その結果、人口が増えて多くの食料が必要となり、人々はより一層働かざるを得なくなる。これが、農業を選んだのは人類史上最大の失敗かもという理由だが、玉木さんは「人類を勤勉にするために農業を選んだのでは」と結んでおられる。確かに、移動を重ねる狩猟採集民が都市を築いたり文明を作り上げるとは思えないから、玉木さんの言葉には説得力がある。私も祖先の選択に従い、勤勉でいよう。