私の取引先にはバッグや財布、傘やハンカチというファッション商品を扱っておられる会社が多いが、最近はなかなか思うように売上を伸ばせないとおっしゃる。どうしてだろうと考えたが、要するに消費者は「既に持っている」から買わなくても困らないのだろう。私自身もそうだ。財布のひもが固くなっている。
元々、ファッションの最先端を行っている訳ではないので、着るものも履くものも身に付けるものも、多少古くはなっているが一通り揃っている。だから、「余程のことがない限り」財布のひもが弛まない。その財布のひもが、去年の冬、久し振りに弛んだ。ダウンコートを買ったのだ。
(NANGAのHPから)
着古したコートを2年前の冬に処分し、その後はコートなしで過ごしてきたのだが、雨の日にはコートが便利だ。早速、インターネットで探し始めたが、「欲しい!」と思えるものがなかなか出て来ない。もう買うのは止めようかと思い始めたとき、このコートが出てきた。
「ナンガ」という初めて耳にしたブランドだったが、色やシルエットより長年「寝袋」を作ってきた会社の商品であることが分かり、俄然興味が湧いた。山男の為の寝袋を作ってきたメーカーなら、きっとこのコートもタフな作りで寒さから身体を守ってくれるに違いない。
この「意外性」が私にとっては「余程のこと」となり、求めやすい価格だったこともあり、衝動買いへとつながった。商品は直ぐに到着したが、軽くて暖かく、極めてシンプルな作りだった。内ポケットが無いことには驚いたが、これも不満には思わず、さすが寝袋を作ってきたメーカーで無駄がない、と感心してしまった。
「余程のこと」とは「サプライズ」なんだと思う。何もかも持っている消費者からすれば、商品を目にしたとき、手に持ったとき、何かしら驚きがないと欲しいとは思わない。大変な時代になったと思うが、「サプライズ」のある商品ならインターネットや口コミで市場が広がることもある。面白い時代だと思うようにしよう。
