トランプ次期米大統領がトヨタ自動車にメキシコ工場計画の撤回を要求したらしい。これをどう思うかと聞かれた日産自動車のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)の答えがクールで良かったように思う。

 

「私は『国境を閉ざす』とは聞いていない。」

 

「次期米大統領が言っているのは米国第一ということだ。我々にとってそれは問題ない。」

 

「(米国内での生産を増やすのかと聞かれ)次期政権で何が決まるかにかかっている。現状では北米自由貿易協定(NAFTA)3カ国(米、加、メキシコ)の枠組みが存在している。」

 

なるほど、国境を閉ざされたら成す術がないが、人、お金、モノ、情報の往来は可能なのだから慌てるな。それに、米大統領が米国第一と宣言するのは致し方ない。それより、その方針に沿えることを考えろ。又、いくら力のある米大統領でも、NAFTAのような国家間の協定を直ぐに、思い通りに改定することは無理なんだから、先ずは成り行きを見守ろう、という趣旨だろう。

 

不安は先走るし、増幅もする。そんな中、慌てず、現実をきちんと見て皆を呼び戻すことのできる人がリーダーとして相応しいのだろう。2015年に日産自動車がメキシコで生産した自動車台数は82万3000台で、同国で生産する日米独韓メーカーの中ではトップだとか。それを知る記者からの質問だったやも知れぬが、この堂々たる回答ぶりには記者も感心したのでは。