コーロ・カステロのコンサートを聴きに行った。今回は70周年を記念するコンサートで、いつも賛助出演されている「合唱団 城の音」だけではなく、現役の大学生が組織する「成城大学合唱団」と、同合唱団のOBOGがメンバーの「コール・ブルク」も参加され、大変賑やかで、さまざまな合唱を楽しめるコンサートになった。

 

 

最初に出て来られたのは主役のコーロ・カステロで、インドネシアの歌を2曲、中国の曲を1曲披露されたが、インドネシアの「Halo Halo Bandung」(ハロ・ハロ・バンドン)が強く印象に残った。1942年、日本軍の侵攻によりインドネシアは350年に亘るオランダ統治から解放されるが、1945年の日本敗戦により再び英蘭軍が独立を阻もうと美しい街、バンドンに逆襲してくる。劣勢のインドネシア軍はバンドンの街が英蘭軍に奪われることを嫌い、将来の奪還を誓って自ら焼き払う。その時の決意を込めた歌とのことだが、「バンドンを燃やすのだから、絶対に負ける訳にはいかないぞ」という悲壮な決意が伝わってくるようで感動した。男声合唱ならではの歌だったと思う。

 

その後に歌われた「浜辺の歌」は安心して聴いていられるとでも言うのだろうか、寄せては返す波が目に迫ってくるような、滑らかだが波の力を感じさせる自然な歌声だった。植村さんの優しい音色のフルートもこの曲にピッタリ合っていて素晴らしかったと思う。

 

ここで、指揮者とピアニストが紹介され、「指揮者の高嶋先生は、あの小澤征爾さんも『先生』と呼ばれる方です」という紹介に場内が沸いた。高嶋先生は成城学園で教鞭を取っておられたことから、小澤征爾さんに「高嶋先生」と呼ばれる場面があったということのようだが、コーロ・カステロの皆さんがお二人を敬愛されていることが伝わってきて、こういうときに成城学園というのは素敵な学校だなと感じる。又、ピアニストの宮下節さんも紹介されたが、パンフレットに掲載されていた「カステロとともに歩んで」という宮下さんの挨拶文を読むと、コーロ・カステロの普段の様子が分かって面白い。全文は長いので、一部ご紹介したい。

 

「(コーロ・カステロの発足から)数年後、『ピアノもできるから入れて下さい』と小澤征爾少年が参加。『すごいヤツがいる!』と言って、ああしろ、こうしろと小澤少年を“こき使った”というエピソードがあります。(中略) 数十年前に征爾さんを“こき使った”カステロは、もちろん、私にも同様に接して下さり、『そこ、高い声は出ないから3度下げて伴奏を弾いて!』、『全音符と書いてあるけど、何か音を入れて間をつないで』などの難題が突然投げかけられます。私はそんな試練をいくつも乗り越えて、カステロ伴奏という特殊技能を身に着けて今日に至りました(笑)永久団員を含むメンバーの皆様に温かく育てて頂いたことを深く感謝してやみません。」

 

私は「カステロ伴奏という特殊技能を身につけて」というところで吹き出したのだが、宮下さんとメンバーの皆さんの深い信頼関係を思うと、コーロ・カステロには相手のことを思いやれる愛情深い方々が多く揃われたのだろうと思う。

 

(続く)