お取引先のイギンさんが主催されたベートーベン「第九」合唱付のコンサートを聴きに行った。ラグビーで負傷した時お世話になった整形外科医のT先生とご一緒したのだが、T先生はオペラがお好きで、着席してから演奏が始まるまでの間はオペラの話になった。

 

「この会場(東京芸術劇場コンサートホール)でオペラの上演はできません。オペラには三つの舞台が必要です」、「オペラのオーケストラは舞台と客席の間の一段低くなったところで演奏します」、「だいたい上演の2年前から準備が始まり、出演者から演出家、大道具や小道具担当のスタッフまで入れると、ざっと500人位が関わる一大事業なんです」、「同じ題材でも、演出家や出演者によって全く異なるオペラになります」と教えて頂き、今度はオペラを是非観てみたいと思った。まだまだ知らない世界があるものだ。

 

さて、「第九」を聴くのは2度目だが、第4楽章は前回に比べ、勢いのある「歓喜の歌」だったように思う。これは指揮者の田中祐子さんが身体全体を大きく使って指揮をされ、それにつられるように東京交響楽団の皆さんの動きが勢い良く見えたからかも知れない。それにしても、弦楽器や管楽器、そして歌手の皆さんが異なるメロディを同時に演奏され、聴き手にとってはそのハーモニーの重厚さや軽妙さ、みなぎる力や繊細さがたまらない魅力になるが、これを作曲したベートーベンの頭の中はどんな仕組みになっていたんだろう。絵を思い浮かべるように、ハーモニーも頭の中で再現できたのだろうか。考えれば考えるほど不思議な気持ちになった。

 

もう一つ印象的だったのは合唱で出演された成城合唱団の皆さんだ。T先生が「意外にお年の方が多いんですね」とおっしゃる位、白髪の方が少なからず居られたように思うが、いざ合唱が始まると、張りのある伸びやかな歌声に驚いた。又、杖をついて舞台に上がられた方も居られた筈だが、演奏中は皆さんシャキッと立っておられ、実に若々しく見えた。若者が歌う「歓喜の歌」にも味わいはあるのだろうが、白髪になってから歌う「歓喜の歌」には敵わないような気がする。私も白髪になったら一度でいいから歌ってみたいと思うが、成城合唱団の皆さんのようにドイツ語の曲を暗譜できるかどうか・・・それ以前に、白髪になるまで髪の毛があるかどうかも心配せねば(笑)