ひろさちやさんの本を久し振りに読んだ。

孤独のすすめ

ひろさちやさんの本には勇気付けられたり、ホロっとさせられる話が出てくるが、次の逸話にはジーンと来て、うるっとしてしまった。

ひろさんが10歳のとき、お母さんが30歳のときに亡くなられたお父さんの五十回忌でのお話。「お母ちゃんはもうすぐお浄土に往くやろ。そんでお浄土でお父ちゃんに会うたら、お父ちゃんに、『わしはこんなお婆さんは知らんわ』と言われるで」とひろさんはお母さんに言う。確かに30歳のときに別れたお母さんは80歳になっておられる。ひろさんもキツいことをおっしゃったものだが、その夜、お母さんは同居していたひろさんの妹さんに、「私が死んだら、これを棺桶に入れといてな」と、かつてお父さんに見せた見合写真を手渡されたとか。お母さんが可愛い!

もう一つ、「お母ちゃん、お浄土へのお土産、ちゃんと用意してるか」とひろさんは突然尋ねる。お母さんは「えっ?!お土産が要るんか? なにを持って往ったらええんや?」と慌てるが、ひろさんがこう答える。「お母ちゃん、安心しいや。お母ちゃんはいっぱいお土産を持っている。お母ちゃんは苦労したやろ。あの敗戦後の混乱期にお父ちゃんはシベリアに抑留されて病死した。それやのに、女の細腕で僕ら4人の子どもを育ててくれた。それにお姑さんまで養った。そういう苦労話が、きっとお父ちゃんも喜んでくれるお土産になる。」

お母さんはそれを聞き、ひろさんに「ありがとう」とおっしゃったとか。お母さんが亡くなられる1年前とのこと。こういう話を聞くと、お釈迦様が仰った通り、私たちには避けられない、独りで立ち向かわねばならない生老病死という「孤独」があるけれども、それをきちんと受け止めた方が力強く生き抜き、周りの支えや愛情にも気付くことができるように思うのだがどうだろう。