著者の今泉 清さんは大分舞鶴高校から早稲田大学に進学されたラガーマンで、高校日本代表、日本代表、7人制日本代表としても活躍された名選手だ。その今泉さんが「勝ちグセ」という本を出されたと、出版元の日本実業出版社に勤務する大学の後輩から連絡があった。後輩が本も送ってきてくれたので、早速、読ませて頂いた。

勝ちグセ

今泉さんがラグビーから学んだという「最強のチームを作るための50の法則」が書かれているが、各々の法則がきっちり4ページにまとめられており非常に読みやすかった。いずれの法則も、真面目な努力家である今泉さんのお人柄をうかがわせるものだが、特に、次の3点は興味深く読ませて頂いた。

法則2「相手の弱みに自分の強みを当てる」

早稲田より身体の大きな選手が揃っていた明治に勝つため、早稲田は徹底してボールを動かし、明治のスタミナを消耗させ、一気にゲインできるチャンスを待つ。いわゆる早稲田の「ゆさぶり」だが、今泉さんはこれを「勝つための手段であり、それで勝てないなら別の手段を考えるべき」と言い切る。私が知る早稲田はそういう勝つことに貪欲で、勝つためには相手の弱点を突くのは当たり前というしたたかさと、その精度を上げるための反復練習ならいくらでも耐えるという志の高さを兼ね備えたチームだ。さて、最近の早稲田はどうなんだろう。

法則12「チャレンジするなら、できるまでやり続けろ」

今泉さんはゴールキックやペナルティキックを蹴るキッカーの役割を担うが、全体練習が終わった後、毎日2時間以上、黙々とゴールポストに向かってキックの練習をされたそうだ。それも立派だが、その今泉さんのキック練習に付き合い、ボールを拾ってくれる4年生の数がどんどん増えていったそうだ。何と素敵なチームなんだろうと思うが、そういう先輩の思いを受けた今泉さんの言葉が素晴らしい。「チャレンジがどういう意味かと訊ねられたら大半の人は挑戦することだと答えるだろう。でも私は違う。私にとってのチャレンジとは、できるまでやり続けることだ」。

法則47「備えを怠らなかった者にチャンスは味方する」

今泉さんがコーチとして関わったチームに、レギュラーになれずに悩んでいるAという選手がいたとか。相談を受けた今泉さんはA選手に先ず得意とするプレーを聞く。それがタックルだと知った今泉さんは A選手がレギュラーになるために必要な27項目の課題をリストアップし、それを4項目まで絞り込む。それに真剣に取り組み始めたA選手はリザーブとして参加していたゲームで途中出場の機会を得、チーム劣勢の中、目が覚めるようなタックルを見せる。A選手の準備が報われた訳だが、ラグビーには15のポジションがあって各々異なる能力が求められる。だから、A選手のように得意なプレーに磨きをかけていればゲームに出られる可能性がある・・・これは社会に通じる真理のように思うがどうだろう。

いつか会って話す機会があったら、これらにつき更に聞いてみたいように思う。