お誕生日プレゼントに又吉直樹さんの「火花」を頂いた。芥川賞を受賞した話題作で、高い評価がある反面、和田アキ子さんなどからは辛口の批評もあったようだ。さて、どんな本なんだろう。

火花

帯に「天才肌の先輩芸人と出会ったとき、すべては始まった」とある通り、お笑い芸人の徳永が天才肌の先輩芸人、神谷と出会い、その交流の中から「お笑いとは何か」を考え、悩み、時には衝突しながらもお互いの存在を頼りにして生きて行く二人が描かれている。その二人の生き様を見れば、たまたまお笑い芸人の物語ではあるが、どのように生きるのかという誰もが一度は悩んだことのある問い掛けを再びされたような気もする。

神谷は天才肌の芸人だけに鋭い感受性があり、妥協を許さない頑固さも持ち合わせている。そういう神谷は時に世の中の仕組みからはみ出すし、理解者や支援者に恵まれないことも多い。反面、徳永はいつも客観的でいられる冷静さを持ち、一言で言えばお笑いに賭ける情熱と同じ量の常識を持ち合わせているがために、なかなか殻を破れないもどかしさと戦っているように見える。

そういう二人だけに互いに惹かれ合うことになるが、そんな二人とは無関係に、世の中の流れにサラリと巧みに乗って世に出て成功する若手芸人たちが登場する。これは決してお笑いの世界だけのことではなく、私たちが生きている世界でも見かける光景のように思う。それだけに、私は「どう生きるんですか?」という問い掛けをされたように感じたのだろうと思う。

好き嫌いで言えば決して好きな範疇の小説ではないが、二人の人柄や性格、話すときの仕草や表情など生き生きと頭の中に浮かんできたから、又吉さんの表現力には素晴らしいものがあると思う。次は何をテーマに書かれるのだろう。ちょっと楽しみだ。