大友宗麟の嫡男、義統は秀吉の朝鮮出兵で「豊後の臆病者」と罵られ、改易されてしまう。そんな史実から、これまで義統がクローズアップされることはなく、いつしか臆病者の烙印を押されたままになってしまったのだと思うが、彼は本当に臆病者だったのだろうか。実は農民たちの生活を気遣い、無駄な戦を回避しようとした名君だったのではないだろうか。

そういう見方もあるということを著者は伝え、それをより強く主張すべく、義統を慕い、支え続ける「ちよ」という一人の女性を登場させている。ちよは百姓の娘として育つが、戦が百姓の命や生活を容赦なく奪うことを知り、朝鮮でも何とか平和や秩序を維持しようと奔走し、次第に義統にとってかけがえのない同志となっていく。

国崩し

さて、「国崩し」とは大友家がポルトガル宣教師の仲介で買い求めた大砲のことだ。戦で大いに威力を発揮するものの、結局、大友家を救うことはできなかった。その国崩しを本のタイトルにされた理由は何だろう、と考えていたら、あとがきにこんなことが書かれているのを見付けた。

「臆病の反対語は勇敢ではなく蛮勇である」・・そして、著者は「妙な国防意識の高揚」を危惧されているように見受けられた。多分、日本国憲法の改正ではなく解釈の変更から集団的自衛権が認められたり、近隣諸国との衝突が増え続けるこのご時勢に、何かしら不安を覚えておられるのだと思う。私も同感だ。

著者の小林昌彦さんは同志社大学のご出身で、先日ある会合で知り合い、ご本を頂戴した。フルブライト留学生としてイリノイ大学大学院で学ばれ、その後、毎日放送ニュースキャスターとしてニューヨークやワシントンで特派員を務められたとのこと。そういうご経験から、私たちとは多少異なる視点からものごとを見ることのできる方なのだと思う。