手帳にメモしていたイタリアの諺、
「チェスが終われば、王様も歩兵も同じ箱に帰る」。

チェス
(Wikipediaから写真拝借)

この諺をメモしたのは、会社にも家族にも町内会にも合唱団にも、組織という組織に当てはまる言葉だと思ったからだ。組織を構成する人たちには様々な役割や責任があるだろうが、一日の終わりにはみんな寝床に入って無邪気な寝顔を見せている筈だ。その姿を想像すると、人間は所詮無力な存在で、みんな平等に生まれて来ているように思うのだ。

ただ、早速この話をしていたら、「チェスが終わるとは人生が終わるということではないですか?」と指摘する人がいた。なるほど、その通りかも知れない。しかし、チェスの駒なら同じ箱に帰ることができても、それが人の話となると宗教ごとに異なる箱があるやも知れず、同じ箱に帰るなどあり得ないという人も出てきそうだ。ああ、ややこしい。

かくなる上は、誰かが私をそっとチェス盤の上に置いてくれたのだと想像してみるのはどうだろう。そう思って前後左右に目をやると次々人が降り立ってくるのが見えるし、反面、私より先に来ていた人たちがチェス盤を去って行くのも見える。チェス盤が地球なら、私たちはせいぜい80年居て去って行く旅行者みたいなものなのだ。

そう思えば、たまたま同じ日に居合わせた旅人同士なのだから、何とか仲良く過ごせないものかなと思う。