髪油の行商人は一所懸命ご婦人相手に髪油を売ろうとしていたのに、今やそれが「仕事中に怠けること」を意味していると知ったら、憤懣やる方ない思いをするのではないか。そもそも、女性相手に長話をするというのは、男性にとって決して容易なことではないと私は思う。

例えば、そのご婦人が美容に関心をお持ちなら、彼女が目を輝かせて聞くような話を私たちはできるだろうか。それ以前に、彼女の関心が美容にあることをちゃんと見抜けるだろうか。その関心が旅行なら? 映画なら? グルメなら? ヨガなら? ファッションなら??

更に、それが何かを買ってもらおうとなった場合には、もっと大変なことになってしまうように思う。と言うのは、なかなかノーサンキューと言えない男性に比べ、女性はあっけらかんとノーを言うし、多少付き合いで説明を聞いてくれる男性に比べ、女性は関心のないことには耳を貸さないからだ。

そう考えてくると、髪油の行商人は本当に良く頑張ったのだと思うし、今の時代なら間違いなく人気ホストになっていたと思う。行商人が望んだ「油を売る」の意味はこうだったかも・・「相手の関心事を見抜き、その話をしながら相手を誘導して自分の商品を売り付けること」(笑)