もう一人、脚本家、倉本 聰さんのインタビュー記事も大変読み応えがあった。

倉本 聰さん

倉本さんは「バーチャルな議論にごまかされるな」とおっしゃる。例えば、国の1000兆円の借金を1万円札にして日銀の玄関先に積むと、高さ1万キロメートル、重さは10万トンになり、日銀前の地盤はズブズブと沈んで行くとおっしゃる。そう聞くと、あまりに現実味が無さすぎて、本当に国はそこまで借金したのかと思えてくる。

又、倉本さんが脚本家や俳優を養成しようと創設、運営されていた富良野塾では「原始の日」を設け、その日には塾生に鶏の首を絞めさせていたらしい。「残酷だ」、「できない」という反発や拒否もあったらしいが、倉本さんは「誰かが鶏の命を奪って作ったフライドチキンや焼き鳥を、みんなは毎日食べて美味しいと言っているんだから、今日は自分でやれ」と命じられたそうだ。厳しい話に聞こえるが、私たちが直視していない現実がそこにある。

フライドチキンもそうだが、例えば破壊や殺生の現場に立会わなくて済む無人爆撃機も、そして、国民一人ひとりの財布から現金を抜き出して借りてきた訳ではない総額1000兆円の国の借金も、現実の痛みを感じないで済むように開発されたものだから、余程、自制しない限り、乱用してしまう危険性があるということだろう。

倉本さんの直言を読み、クレジットカードを持つことに抵抗を示した父のことを思い出した。現金を持ち歩く危険より、収入の裏付けのない支出に父は危険を感じていたのだろう。父は現実を生きたのだと思う。