会長は日本を代表する総合商社で活躍された方で、博識の上にお話がお上手で、ユーモアたっぷりの語り口についつい引き込まれる。だから、会長の回りにはいつも人が集まり笑いが絶えない。奥様は神経の細やかな方で、いつも回りの人たちに気を配る優しい方だ。しかし、会長はそういう奥様に「家庭では虐げられたりしている」とおっしゃるから、又、笑いが起こる。そういうご夫妻のことを思い浮かべ、カードには次のように書いた。

「ご結婚されて50年、この年月を夫婦として無事に過ごしてこられた理由は何でしょうか、と尋ねてみたい気がしましたが、ひょっとすると、会長は『私の忍耐の賜物です』とおっしゃるかも知れません(笑)。しかし、そういうときも、奥様は聖母マリア様のような寛大な心と優しい笑顔でさらりと聞き流されるのかなと想像しております(笑)。どうかこれからも、私たちの目標となるご夫婦でいらして下さい。」

大きな拍手が湧いたが、みんな、会長ご夫妻のことが好きなのだ。その後、準備していたプレゼントをお渡しした。

「金婚式ですので、お祝いに金の延べ棒を、とも思いましたが、ご結婚された1964年を調べましたところ、この年にカルビーが『かっぱえびせん』を、大関が『ワンカップ大関』を発売していたことが分かりました。これは金の延べ棒よりもお喜びになるに違いないと強引に考え、『かっぱえびせん』と『ワンカップ大関』をお祝いに買って参りました(笑)。喧嘩しないで仲良く召し上がって下さい。」

かっぱえびせん
(かっぱえびせんとワンカップ大関)

プレゼントをお渡ししたあと、ガブリエル・マリーの金婚式を弾いた。1カ所間違い、何カ所か正しい音を出せなかったが、心を込めて弾いた。