酒井雄哉さん著「一日一生」に大変印象深いお話があった。

酒井さんは特攻隊の出撃基地のあった鹿屋におられたが、終戦間際に特攻隊員二人が少し沖合の海が見えるところに並んで、ずっと話し込んでいたのを目撃されている。二人は兄弟だったようで、お兄さんの方はその夜に出撃し、戻って来なかったとのこと。見送った弟さんも、その後間もなく出撃し、やはり帰っては来なかったそうだ。

「あんときの二人の気持ちってどうだったろうかと思うよ。二人ともおそらくまだ十代だったろう。死んでいく兄貴とそれを見送る弟と・・。お前、もし生きて帰ったら、母さんのこと頼むぜ、とか家族のことやなんかを話していたんじゃないかと思うんだ」と酒井さんはおっしゃっている。

ついつい忘れがちになっているが、私たちが享受している平和は、こういう兄弟やそのご家族の犠牲の上に成り立ったものなのだから、ゆめゆめ粗末にしたり、危険に晒してはいけないのだと思う。

紅葉3

(銀杏の黄葉。近くの公園で。平和に感謝)