昨年、現役引退した元ヤクルトスワローズの宮本慎也さんは同志社大学のご出身だから後輩に当たる。しかも同じ体育会だ。こういう後輩がいると、何となく嬉しく誇らしいものだが、彼が週刊ダイヤモンド(10月4日号)の「洞察」に投稿していた文章を読み、その気持ちが尊敬に変わった。文武両道とは彼のような人のことを言うのだろう。

宮本慎也さん

巨人の小林誠司捕手も同志社大学野球部の出身だが、大学の依頼で対談を行った際、小林捕手から「新人に戻ったら、これだけはやっておこうということはありますか」と尋ねられたらしい。この質問を投げた小林捕手も頭の良い男だと思うが、宮本さんの答が素晴らしい。

「大きな目標を立て、それに対して何ができるか、小さな目標をつくってクリアしていくことです。」

宮本さんの大きな目標は「プロ野球選手として10年間プレーする」だったが、入団して直ぐに池山隆寛選手という強力なライバルに出会い、「先ずは一軍に残る」という差し迫った目標ができる。体力を付け、技術を磨き、何とか一軍に残れそうになってくると、今度は守備、打撃、走塁というさまざまな局面で実績を残すことが目の前の目標になる。そうやって次々と具体的かつ必要に迫られた目標を定め、それらをクリアすることで、宮本さんは当初の大きな目標を上回る19年間のプロ生活、2000本安打、400犠打という偉業を達成したのだ。

そういう宮本さんの言葉だから説得力がある。
「大きな目標ばかりでは苦しくなって妥協する。小さな目標だけではスケールの小さな選手になる。」
さて、この話を聞いた小林捕手はどう思ったのだろう。機会があれば確かめてみたいものだ。