フリードリヒ・ザイツはドイツ・ロマン派の作曲家でバイオリニストでもあったとのこと。そういう名前も存在も知らなかったが、このザイツが作曲したバイオリン協奏曲第5番第3楽章を先月から一所懸命練習している。私には難しい曲だが、バイオリンの初心者に幅広く使用されている練習曲なんだそうだ。では、これを作曲したしたザイツとは一体どういう人だったのか。

ウィキペディアによると、ザイツ(1848~1918)は6月12日の生まれだから、もし生きていれば、今日、166才の誕生日を迎えたことになる。それを知って「全く違う時代を生きた過去の人」だと思っていたら、かの大女優、マレーネ・ディートリッヒ(1901~1992)が若い頃にバイオリニストを目指し、このザイツに師事していたと書かれているではないか。マレーネ・ディートリッヒは父が好きだった女優で、テレビで放映されていた映画「ニュールンベルグ裁判」を父と一緒に観た記憶がある。それを思い出した途端、過去の人だったザイツのことを少しだけ身近に感じた。

ザイツ

ついでに、マレーネ・ディートリッヒのことを調べていたら、映画「ニュールンベルグ裁判」でウィリアム・シャトナーと共演していることが分かった。シャトナーはテレビ放映されていた頃の「スタートレック」でカーク船長を演じていた人だ。最近はテレビドラマ「ボストン・リーガル」でデニー・クレイン弁護士を軽妙に演じている。それを知ると、「カーク船長が共演したマレーネ・ディートリッヒのバイオリンの先生だったザイツ」というつながりで一気にザイツのことを生き生きと想像することができるようになった。不思議な感覚だが、ザイツと私の間に二人の人間が入っただけで100年という時空を超えたとでも言おうか。

ザイツはマレーネ・ディートリッヒが後に大女優になることを想像しただろうか。マレーネ・ディートリッヒも私と同じようにこの曲を練習したのだろうか。そして、私と同じところでミスを繰り返したのだろうか。そんなことを考えていたら、ザイツとは旧知の仲のような気もしてきたのだが、練習を始めると、やはり同じところでミスをした。想像は時空を超えられるが、技術はそういう訳にはいかないらしい。現実は厳しい(笑)