100あるテーマを読み終えた。とても読み易く感じたのは、著者の枡野さんが難解な言葉を使わず、普段の生活で良く見掛ける光景や誰もが経験しているに違いない迷いや悩みを例に出しながら解説されているからだろう。

ここはもう一度読もう、とページの橋を折ったテーマがちょうど十になった。この間は「呼吸」と「いらないものを捨てる」について触れたが、その次に印象に残ったのは「ひとりの人と深くつき合う」というテーマだ。

枡野さんの言葉だ。
「最近の世の中は、上辺だけの人間関係に目が向いているような気がします。つき合いは広いほうがいい。人脈が大事。もちろん、仕事の世界ではそういう価値観もあるでしょう。でも、プライベートなことに関しては言えば、知り合いなんか少なくてかまわない。そもそも、心の底から信頼し合える人間なんて、そんなに多くいるはずはないのです。百人との浅い関係より、たったひとりとの深い関係を築くほうが豊か。私はそう思います」。

私もそう思う。
仕事の世界でも頼りになるのは名刺の数ではなく、お互いのことをどこまで知っているか、お互いに相手のために一肌脱がねばならないと思っているかどうかという深さだと思う。そこまでの信頼関係を築くには時間と努力が必要で、名刺を交換した位でいきなりそうなれるわけではない。

プライベートな世界では、もっとそれが顕著になるように思う。私は550枚の年賀状を出し、500枚の年賀状を頂いている。少なくはないと思うが、何も聞かずに100万円貸してくれとお願いした場合、それに応じて下さるのは数名だろう。逆に、私がそう頼まれてそうする相手も数名だろう。1万円ずつ100人からお借りできる人脈も有難いとは思うが、ピンチを救って下さるのは、何も聞かずに時間やお金を融通して下さる方だろう。実際、そういう相手との食事や議論は実に楽しい。やはり数ではなく深さだと私は思う。

禅