医師であり、作家でもある鎌田 實先生が毎日新聞に「さぁ、これからだ」という随筆を連載されている。先日は人類の祖先について触れておられた。

ゴーギャンが「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」という作品を残しているが、鎌田先生も同様の問いかけを胸に世界各地を訪問されてきたそうだ。

ゴーギャン

タンザニアの350万年前の地層には、家族と思われる3人の足跡が今も残っているそうだ。大人の男と思われる大きな足跡、そのそばに残る子どものような小さな足跡、そして、その後ろには大人の女らしい中くらいの足跡が続く。我々の祖先は既にこのとき家族という形で行動していたのだと先生はおっしゃる。家族という形には実に長い歴史と実績があるのだ。

では、サルとヒトを分けたものは何かというと、先生はアメリカのオーウェン・ラブジョイ博士が唱える「プレゼント仮説」を紹介されている。すなわち、子孫を残すために犬歯を鋭く尖らせ、他のオスと戦ってきたオスが、二足歩行によって自由になった手でメスに食べ物をプレゼントし始め、そういうオスがメスに好かれ、より子孫を残せるようになったというのだ。

目撃者がいないので証明は難しいだろうが、私は直感でラブジョイ博士のプレゼント仮説は正しいと信じる。食べ物の確保には知恵や力が必要だったろう。しかし、そういう知恵や力より、それをプレゼントするという優しさがメス心、モトイ、オンナ心に響いたのでは。その後、プレゼントには花や装飾品が加わり今日に至る。男が女に貢ぐという形にも実に長い歴史と実績があるのだ。