毎週土曜日の朝は東武東上線の上板橋まで行く。
バイオリンのレッスンを受けるためで、電車の中ではその日に弾く曲のメロディを思い出したり、楽器を持った人に温かな視線を送る「音楽モード」になっているのだが、駅から教室に向かう商店街に入り、石田屋の前に差し掛かると頭の中の音楽がピタッと止んで「食いしん坊モード」に切り替わる。
「おっ、今日もお客さんでいっぱいや」
「伝説のどら焼きは・・・やっぱり売り切れか」
石田屋のどら焼きは一日に作る数量が200個とも300個とも言われており、開店前から並ばないと買えない人気商品だ。インターネットでも「伝説のどら焼き」と呼ぶ人たちがいるくらい簡単には入手できないどら焼きだから、開店後に店の前を通り掛かる私に買える訳がない。だから「本日分のどら焼きは売り切れました」という案内を昨日も「当たり前や」と思いながら店の前を通り過ぎたのだ。
ところが、予期せぬサプライズがあった。教室に着いて先生に朝のご挨拶をしたら、先生がニコニコ微笑みながら紙袋を手渡して下さった。

「これ、石田屋のどら焼きです」
「えっ、え~??」
「主人が今朝買ってきたんですよ」
「えっ、え~??」
間も無く還暦を迎えるほど長く生きてきたのに気の利いた感謝の言葉も言えず、本当に恥ずかしく思うが、伝説のどら焼きを手にした私は明らかに興奮状態にあった。先生によれば、先生の旦那さんは8時15分から並んで下さったそうだが、既に30人のお客さんが列を作っておられたとか。開店は9時だから、本当に簡単には買えない人気商品なのだ。

先生の旦那さんは板橋のご出身で、幼い頃の誕生日や季節のお祝い事には必ず石田屋のお菓子が出てきたそうだ。旦那さんは恰幅が良く、熊のような体型をされているが、目が優しくていつも周りの人たちを気遣う優しい方だ。多分、石田屋贔屓のご両親に大事に育てられ、愛情と栄養をたっぷり受けて大きくなられたのだろう。少年時代の旦那さんが石田屋のどら焼きやロールケーキを頬張る姿を想像し、ちょっと微笑ましくなった。

さて、これが石田屋のどら焼きだが、一番びっくりさせられたのは「皮」だ。ふわふわしているのに弾力があって実に美味しい。この皮だけでも売り物になるのではないかと思う。その皮と粒餡の相性が良く、程よい甘みと食感になる。その上、上品な甘みの栗が丸々一個入っているので、もの凄く贅沢な気持ちに浸れる。行列ができるのも納得という一品だった。
寒い中、行列に加わり並んで下さった先生の旦那さん、本当に有難うございました!!
バイオリンのレッスンを受けるためで、電車の中ではその日に弾く曲のメロディを思い出したり、楽器を持った人に温かな視線を送る「音楽モード」になっているのだが、駅から教室に向かう商店街に入り、石田屋の前に差し掛かると頭の中の音楽がピタッと止んで「食いしん坊モード」に切り替わる。
「おっ、今日もお客さんでいっぱいや」
「伝説のどら焼きは・・・やっぱり売り切れか」
石田屋のどら焼きは一日に作る数量が200個とも300個とも言われており、開店前から並ばないと買えない人気商品だ。インターネットでも「伝説のどら焼き」と呼ぶ人たちがいるくらい簡単には入手できないどら焼きだから、開店後に店の前を通り掛かる私に買える訳がない。だから「本日分のどら焼きは売り切れました」という案内を昨日も「当たり前や」と思いながら店の前を通り過ぎたのだ。
ところが、予期せぬサプライズがあった。教室に着いて先生に朝のご挨拶をしたら、先生がニコニコ微笑みながら紙袋を手渡して下さった。

「これ、石田屋のどら焼きです」
「えっ、え~??」
「主人が今朝買ってきたんですよ」
「えっ、え~??」
間も無く還暦を迎えるほど長く生きてきたのに気の利いた感謝の言葉も言えず、本当に恥ずかしく思うが、伝説のどら焼きを手にした私は明らかに興奮状態にあった。先生によれば、先生の旦那さんは8時15分から並んで下さったそうだが、既に30人のお客さんが列を作っておられたとか。開店は9時だから、本当に簡単には買えない人気商品なのだ。

先生の旦那さんは板橋のご出身で、幼い頃の誕生日や季節のお祝い事には必ず石田屋のお菓子が出てきたそうだ。旦那さんは恰幅が良く、熊のような体型をされているが、目が優しくていつも周りの人たちを気遣う優しい方だ。多分、石田屋贔屓のご両親に大事に育てられ、愛情と栄養をたっぷり受けて大きくなられたのだろう。少年時代の旦那さんが石田屋のどら焼きやロールケーキを頬張る姿を想像し、ちょっと微笑ましくなった。

さて、これが石田屋のどら焼きだが、一番びっくりさせられたのは「皮」だ。ふわふわしているのに弾力があって実に美味しい。この皮だけでも売り物になるのではないかと思う。その皮と粒餡の相性が良く、程よい甘みと食感になる。その上、上品な甘みの栗が丸々一個入っているので、もの凄く贅沢な気持ちに浸れる。行列ができるのも納得という一品だった。
寒い中、行列に加わり並んで下さった先生の旦那さん、本当に有難うございました!!