昨年亡くなられた漫画家、やなせたかしさんは「一寸先は光」とおっしゃっていたらしい。普通なら「一寸先は闇」というところ、なぜ闇ではなく光とおっしゃったのか。

毎日新聞朝刊の「余録」によると、アンパンマンがヒットしたとき、やなせさんは50代も半ばを過ぎておられたとのこと。多分、それまではご苦労や厳しい状況が続き、いきなりブレークしたアンパンマンに強烈な光を感じられたのだろう。毎日新聞はその逸話からプラス思考やポジティブシンキングの効果を説き、「もう41歳」ではなく「まだ41歳」と思っているに違いないスキージャンパー、葛西選手の快挙に触れている。

更に、コップ半分の水を見て「もう半分しかない」と思う悲観主義や、逆に「まだ半分ある」と思う楽観主義の例えを出し、心の持ちようによって見え方もその後の生き方も異なるであろうことを示唆する内容の記事になっている。締めにはフランスの哲学者、アランの言葉が引用されていた。

「悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである」。

なんと鋭い視点!

実際、「もう半分しかない」という悲観的な見方はそのまま「困った、どうしよう、もうダメかも」という気分になりそうだし、そこで思考が停止してしまいそうに思う。一方、「まだ半分ある」という見方は「さて、どうやって増やしてやろう」という工夫や努力、精神を促すように思う。ただ、そう思えるか、そして何かしら行動を起こし、継続できるかどうかには強い意志が必要だろう。要は、楽観主義とは意志に基づく行動があって初めて成り立つものなのだ。お気楽とは根本的に異なる。

私自身には「一寸先は光」と言えるだけの経験も自信もないが、せめて「一寸先は一寸先」と言えるだけの気概を持てればと思う。