中野さんは産業革命の話から入り、過去3回あった産業革命について次の通り解説されている。


【第1次産業革命】

1750年~1830年

蒸気機関、紡績機、鉄道の発明


【第2次産業革命】

1870年~1900年

電気、内燃機関、上下水道の発明


【第3次産業革命】

1960年~1990年代半ば

コンピュータ、インターネットの発明


この3回の内、世界を一変させたのは第2次産業革命であったとおっしゃる。エンジンが家畜に取って代わり、移動のスピードが劇的に速くなった。電化製品が通信、娯楽、家事を革命的に変え、この時期には寿命まで伸びたのだという。


では、第3次産業革命はどうだったかというと、第2次には労働生産性や生活水準を劇的に向上させた自動車、電灯、上下水道があったが、第3次には世の中の仕組みを根本的に変化させるような発明はなかったとおっしゃる。すなわち、「イノベーションが鈍化している」のだ。


折り悪く、そういう時代に食糧やエネルギーという資源の制約を受ける。例えば「水」だが、水の利用可能量が必要最低限以下となる「水ストレス状態」に陥る人が、2030年には世界人口の47%(39億人)に達するとのこと。BRICsだけで見ると人口の62%が水ストレス状態に陥るとのことだから、もっと悲惨な状況になる訳だ。


そこで、中野さんの「中国のチベット問題は水資源問題」という発言が飛び出す。全く知らなかったが、チベットには揚子江、黄河、メコン川、サルウィン川、ブラフマプトラ川、インダス川、サトレジ川の源流があるんだそうだ。そして、これらの河川の下流にはインド、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラデシュ、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナムがあり、当然、これらの国は中国に水源を押さえられていることに懸念を抱いている訳だ。


景気も大事だが、食糧やエネルギーの安定確保があっての平和だろう。そういう観点に立てば、単純に円安を喜べんでいる場合ではないし、仮に景気が上向いたとしても、砂上の楼閣のような脆弱さをいずれ痛感させられるに違いない。