毎日新聞に出ていたコラム。
書いておられるのは海原純子先生という心療内科医だ。
低気圧の影響で強風が吹き荒ぶ中、先生は車で外出される。そして、赤信号で停車された際、自転車に乗っていた中年女性が強風のせいで倒れるのを目撃される。なかなか自転車を起こせず、買物カゴからは果物が転げ出てくるがどうしようもない。
と、そこに一人の若い女性が駆け寄ってくる。彼女は自転車を起こすのを助け、転げ出た果物を一つひとつ拾って中年女性に手渡したらしい。先生はその若い女性のとっさの判断力と行動力に賛辞を送りつつ、こう解説されている。
「自分しかいない」という思いが行動の原動力になる。「誰かがやってくれる」と思った途端、人は行動しない。実際、目撃者が多いほど手助けしないという論文まであった。
そして先生は、最近の若者には意欲がない、手助けもしない、といわれることに対し、「自分しかいないという環境や体験がないから行動できないのはないか」と指摘される。先生ご自身も、小学生の頃から「親はいつまでも生きていないから自分で生きていけるように」と父親に言われ続けたことが今の人生につながっているとおっしゃる。ごもっともだと思う。
最後に先生は、「孫に1500万円まで非課税で贈与できる」という最近できた制度の話から、「えっ?それしかくれないの」と言う若者がいたことを書いておられるが、そういう話を聞くと、誰が世話するでもないのに健気に咲いている花々が本当に気高く見える。こういう花々こそ、自分で生き抜くしかないという遺伝子を脈々と受け継いでいるのだろう。



