柳井会長兼社長の答えは次のようなものだった。
「我々はZARA、H&M、米GAP、アディダス、ナイキ、LVMHと競争するんだ。強くないと生き残れないし、トップがレベルを下げる訳にはいかない」。
更に、ブラック企業という言葉に対しても辛辣な意見を述べておられる。
「ブラック企業とは、旧来型の労働環境を守りたい人が作った言葉ではないのか」。
しばらく考え込んでしまったが、柳井さんが競合相手として挙げられた企業の年商はいずれも1兆円を軽く超える大企業で、しかも世界中に根を張ることのできる逞しさを持っている。そういうところと競い合おうという企業なら、新入社員の半分が3年以内に退職しても不思議はないかなと思ってしまった。
そこで再び読売新聞の記事に戻る。
ひょっとすると、読売新聞がアンケート調査の対象とした112社の中にも、ユニクロ同様、世界に打って出ようという積極果敢な事業プランを温めているところがあるのではないか。ただ、それに応えられる人材を新人の段階で発掘するというのは難しい。かと言って、多めに採用して半分でも辞められると「ブラック企業だ」という噂を立てられる。
考え過ぎかも知れないが、企業側には雇用責任を問われる大きな不安があり、一方の労働者には早期退職を脱落者と見られるような心配があり、お互いに慎重になっているのではないか。この際、例えが適切でないかも知れないが、結婚や同棲の前のデート感覚で、もっと気楽に企業と労働者が「付き合ってみる」という文化はどうだろう。
例えば、学校を卒業してからの3年間は「インターン」として最低3社で働かねばならないようにする。パスポートではないが、3社で働いたという証明があって初めて正式に就職できる。企業側も労働者側も「お試し期間」を堂々と持てる。そういう高い流動性があれば、企業はもっと挑戦的になれるように思うのだがどうだろう?