2012年度の貿易収支は2年連続の赤字で、その額は8兆1699億円なんだそうだ。ちょっと見当の付かない数字だが、仮にこれを1億人の国民で穴埋めするとしたら、一人ひとりから8万円ずつ集める勘定になるのだから、とてつもなく大きなお金だと言える。欧州や中国向けの輸出が減り、逆に、原子力発電に代わる火力発電用の燃料輸入が増えたことが赤字の原因らしい。
では、日本からこれだけのお金が消えてしまったのかというと、そういう単純な話ではなく、所得収支と呼ばれる金利や配当による収入が大きくなっている。例えば、2011年度の貿易収支は4兆4000億円の赤字だが、所得収支は14兆2000億円の黒字で、貿易赤字を補って余りある所得収支があった訳だ。平たく言えば、労働ではなく、資産が稼いでくれているのだ。
さて、この話とはスケールもレベルも比較にならないが、私の仕事であるライセンスビジネスも商標という資産の運用で稼ぐのだから、どちらかと言えば、所得収支に近いものだと思っている。ただ、お金の価値は一定だが商標の価値は必ずしも一定とは言えない。
お客様がお金を払ってでも使いたいと思って下さる商標でないと成り立たないビジネスだから、知名度や好感度が高かったり、その商標を使うことで高い価格設定や新しい顧客開拓が可能になるという実利的なパワーが商標に求められる。私がラッキーなのは、長年に亘る先輩社員の努力や会社の投資のお陰で、そういうパワーのある商標が数多く手元にあるということだろう。
資産にはお金もあれば商標もあるし、不動産も場所によっては重要な資産になる。そういう資産の運用で稼げる国家や企業は実に恵まれていると思う。ただ、商標が資産になるまでには相当の投資と努力が必要だったのと同様、日本が所得収支で稼げるまでには相当の貿易黒字が必要であったと思う。そういう意味で、2年連続の貿易赤字は大いに気になるニュースだし、現在の円安が貿易収支にどう影響するのか、目が離せないと思っている。