新浦安に取引先がある。
2011年3月11日、生まれて初めて経験した大きな揺れにオフィスで呆然としていたとき、「浦安で液状化現象が起こっているらしい」と誰かが言っているのが聞こえた。最初は良く意味が分からなかったが、少しして大変な事態なんだと気付いた。
その取引先に電話をしてみたが掛からない。何度かトライしてみたが全く呼び出し音にならない。その内、メールなら届くかも、とパソコンを開いてメールを入れてみた。「大丈夫ですか?ご無事ですか?」。しばらくすると返事が届いた。「無事です。ただ、会社から一歩も外に出られません。液状化現象です」
それからちょうど1ヵ月後の4月11日、新浦安の取引先を訪問した。映像で見るより遥かに悲惨な状況に驚いたが、特にマンホールが地上から飛び出している光景にはショックを受けた。家族に見せるのも何か不謹慎のような気がして、パソコンに取り込んだあと、結局誰にも見せなかった。
今月、同じ取引先を訪問した。大地震から1年と8ヶ月、新浦安が受けた傷跡もずいぶん癒えたように見えた。そして、大地震から1ヵ月後に写真を撮ったマンホールを見付けた。すっかり、修復されていた。
新浦安にお住まいの方や通勤で通う方々は大変なご苦労をされたものと思うが、諦めず、着実にできることを一つずつ片付けていくという忍耐力や継続力には頭が下がる。決して簡単に「時間が解決する」などと言ってはいけないのだ。時間が何かを成し遂げたのではなく、時間が経過する間に人が仕事を成し遂げたのだ。アンディ・ウォーホールもこんなことを言っている。
「よく、時が物事を変えると言うが、本当は自分自身で変えなくてはいけないのだ」。

