そういうドリスの遠慮のない接し方に閉口していた人たちが、少しずつだが心を開き始める。心理学など勉強したこともないドリスだろうが、人の感情や本音に敏感で、背中を押すお節介さを持ち合わせているのだ。やがて、庭師も秘書も義理の娘もそのボーイフレンドまでもが生き生きとしてくる。みんな、ハートをドリスに鷲掴みにされ、揺さぶられたとでも言おうか。


ボルネオ7番のブログ-最強のふたり2



一方、フィリップは少年のまま大きくなったかのようなドリスに大人の世界を見せる。芸術や音楽、そして大富豪であればこそ味わえるリッチな時間。そのドリスが別の会社の面接を受ける場面が出てくるのだが、柔らかな物腰、静かな口調、さり気なく見せる芸術への造詣の深さなど、フィリップ直伝の知性が顔をのぞかせる。フィリップがその場面を見たら、してやったりと快哉を叫んだことだろう。


映画のタイトルは「最強のふたり」だが、「最強コンビのふたり」と言うべきだったのかなと思う。ドリスの健康な肉体とアグレッシブな精神、フィリップの聡明な頭脳と豊富な経験、正に抜群の組合せかと思う。もう一度観たい映画だ。