「世界のお金は日本を目指す」


著者は岩本沙弓さん。金融コンサルタント・経済評論家・大阪経済大学経営学部客員教授とあるが、長らく国際金融の現場でキャリアを積んでこられた方らしく、歯切れの良い論説が続く。


ボルネオ7番のブログ-岩本沙弓さん


帯にある通り、「なぜ円が買われるのか」を分かりやすく説かれる。先ず、日本は対外純資産残高253兆円を擁する世界一裕福な国だ。日本の所得収支を見ても、2011年には14兆円の黒字となっており、月に約1兆円の不労所得収入があるということだ。日本は、世界が羨む豊かな国なのだ。


次に、折りしも米国が量的緩和策であるQE3を発表したばかりだが、米国だけではなく、欧州債務危機を回避したいEUもECBが量的緩和策を採らざるを得ない。結果として、紙幣が大量に印刷され、過剰流動性が増すこととなるが、これらの資金は金融機関を中心に滞留することが予想される。すなわち、金融バブル再燃と崩壊の下地ができるということか。


その点、日本の企業には世界に通用する独自の技術があると説かれる。例えば、ボーイング787の部品の35%は日本製だし、アップルやサムスンの製品にも日本製の部品が欠かせない。それを岩本さんは Made in Japan ならぬ Made with Japan と表現されているが、確かに、日本の技術力は世界の実体経済に根を張っていると言えそうだ。


反面、岩本さんご自身も指摘されてはいるが、日本はこれから迎える人口減少=国内市場の縮小にどう立ち向かっていくのかについては詳しく書かれていない。日本経済は内需に支えられている。この縮小は、多くの企業や人に影響を及ぼすように思っている。機会があれば、是非、詳しく聞いてみたいところだ。