水木しげるさんの本を久し振りに読んだ。
水木しげるさんは不思議な存在感を持った方だと思う。太平洋戦争でラバウルに出征され、何とか九死に一生を得て復員されるが、戦地で爆撃に遭い、左腕をなくされている。敗戦後の日本では長く貧しさと闘われ、ご苦労の末やっと漫画家として成功される。
そういう過酷な運命をたどられた水木しげるさんが、いつも飄々とされているように見えるのはどうしてだろう。それが不思議で、いつも疑問に思ってきた。その答ではないかも知れないが、第2章の「生きていることはすばらしい」にこんな一節が出てきた。戦場の最前線での出来事だ。
「小隊は私以外、全滅したからね。不寝番として夜の見張りに立ち、朝方にオウムの美しさに見惚れていなかったら、敵の襲撃を受けて私も死んでいたはずです」。
オウムが命の恩人なのか、はたまた、戦場の最前線でもオウムを美しいと思えた水木さんだからこそ起こり得た奇跡なのか、オウムを見詰める若き日の水木さんの姿を想像しながら考えてしまった。
