飛び出た後の感覚は、「落ちて行く」ではなく、「浮いている」が近いと思う。
地上までの距離がたっぷりあるので、落ちているという感じがしない。それより、もの凄い風を全身に受け、下から吹き上げられているような感じになる。正に浮いているという感覚だろうか。しかも、風の音以外、何も聞こえないので、自分が何をしているのか分からなくなる。無我夢中とはこのことかも。
気付けば、「ワォーッ!!」とか「スゴイ~ッ!!」とか叫んでいたのだが、視界を邪魔するものが何もないという不思議な眺めと、大空の中に自分が点になって浮かんでいるという不思議な感覚に思わず叫んでしまっていたのだろう。今から思えば、アドレナリンが一挙に分泌され、恐怖心が吹き飛んでいたのだと思う。とにかく、一瞬たりともパラシュートが開かなかったらどうしようなどとは考えもしなかったのだから。
アドレナリンは「闘争か逃走か」(fight-or-flight)のホルモンと呼ばれ、動物が敵から身を守るとき、或いは獲物を捕食する必要に迫られたときなどに分泌される(ウィキペディア)そうだから、多分、相当量のアドレナリンが分泌され、私も戦闘バージョンに入っていたのだろう。
そういう興奮状態の最中、先生がパラシュートを開いた。
