押入れからスパイクが出てきた。
最後に履いたのは15年ほど前のことだろうか。
ちゃんと磨いてからしまったらしく、カビひとつ生えていなかった。
しばらくスパイクを見ていたのだが、思い切って捨てることにした。
もう、これを履いてラグビーゲームに出ることはないだろう。
と言うことは、プレーヤーとしてラグビーから何かを学ぶこともないだろう。
スパイクに「ありがとう」と声を掛け、ゴミ袋に入れた。
その後、ラグビーから私は何を学んだのだろう、と考えた。
大きい順に言えば、多分、次の三つになると思う。
①大事なのは身体だ。
ゲーム中に鼻の骨を折った。病院で手術を受け、顔にギブスをはめられた。3週間でギブスは取れたが、しばらくは当たるのが怖くてタックルにもモールにも入れなかった。鼻の骨ひとつで戦意を喪失するものなんだと学んだ。アキレス腱を切ったときなど、戦意喪失どころか、その時点で使いものにならず、グランドの外に運び出された。大事なのは体力と健康だ。
②思い通りにならないことがある。
レギュラーになれなかった。3年生と4年生のときは公式戦出場なしだ。小、中、高、そして大学も2年生までは思い通りにならないことなどなかったから、初めて経験した挫折であり敗北だった。ただ、それが良かったのか、社会に出てからは努力を惜しまなかったし、挫折や敗北があっても大騒ぎせずに済んだ。思い通りにならないことがあることを学んでいたからだろう。
③ハンディキャップがあった方が良い。
どこかを怪我しているとき、体調が万全ではないときの方が良いプレーをしたように思う。多分、無意識にエンジンの回転数が上がり、元気な細胞がそれに応えたのだろう。それから、低いタックルを褒められたことがあるが、これは私の身体が小さかったからできたとも言える。ハンディキャップがあるとアタマを使うようになるし、ハンディキャップも見方を変えれば武器になるものなのだ。
14才から35才まで現役でプレーしたが、ラグビーをしていたことが、私の人生を大きく変える人との出会いにつながり、今こうして幸せな人生を送らせてもらっている。
ラグビーに感謝。
