所属する合唱団の先生が亡くなられた。
何度か大病をされ、その都度、不屈の精神で復帰しては私たちを驚かせた。少しずつ痩せていかれ、歩くときには杖を必要とされたが、ステージに上がるときには杖を置かれ、しっかりした足取りで登壇し、颯爽と指揮をされた。それを見た私たちが、「先生、本当にすごい回復力ですね」と言うと、先生はいつも「音楽のお陰です」とお答えになった。
先生の音楽との関わりの中で、私たちへの合唱指導は必ずしも大きな満足を得られるものではなかったと思う。何といっても、私たちは素人で、ろくに楽譜も読めないのだから。しかし、先生は毎回懇切丁寧に私たちを指導下さり、私たちは知らない間に「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、「流浪の民」、「アヴェマリア」という難しい曲を何とか合唱できるようになった。先生のお陰だ。
その先生の告別式で挨拶をさせて頂くことになった。
何を申し上げれば良いのか迷っているとき、偶然、ガンジーの言葉を見つけた。
「明日死ぬつもりで生きなさい。永遠に生きるつもりで学びなさい」
明日が人生最後の日なら、今日という日を精一杯生きようとするだろう。しかし、その繰り返しを是とするならば、時間を掛けて何かを成し遂げようという意欲や希望を私たちは持ち辛くなってしまう。だから、明日死ぬつもりで生きる。しかし、永遠に生きるつもりで学べということなのだろう。
先生は延命治療よりも日常通りの生活を希望し、選択されたと聞く。先生のことだから、8月の発表会に向け、どのように曲を完成させていくか、ちゃんと考えておられたことと思う。一方では、毎週火曜日の練習には、覚悟を持って臨んでおられたかも知れない。
そう考えると、このガンジーの言葉が、先生からの最後のメッセージであるように思えてくるのだ。
合掌。
