2011年のアカデミー作品賞など数々の受賞に輝いた映画。
物語は、サイレント映画からトーキー映画に変わっていく時代の節目に、サイレント映画のトップスターとトーキー映画の新星ヒロインが出会うことから始まる。
う~ん、何となく筋書きが読めそうやな、とも思ったのだが、今となっては珍しいモノクロ映画、しかもサイレント映画と聞き、まぁ観ておこうという軽い気持で観に行った。
ところが、である。予想に反して最初からどんどん映画に引き込まれてしまう。サイレント映画が珍しかったこともあるが、登場人物を見る目がいつもより敏感になっているような気がしたのだ。
そして、予告編でも使われていたが、サイレント映画のトップスターに憧れるトーキー映画の新星ヒロインがトップスターの舞台衣装に顔をうずめて香りをかぎ、袖に腕を通して一人芝居に耽るシーンで泣いてしまった。ヒロインの思いがひしひしと伝わってきたし、それを言い出せない辛さも良く分かり、感極まってしまったのだ。
目は口ほどにものをいう、と言われるが、ものをいうのは目だけではない。人の表情や姿勢、そしてちょっとした仕草がこれほどまでに感情を伝えるとは・・・。本当に驚いた。
もう一つ、音楽も又、「ものをいう」ことを発見した。目から入ってくる情報に心が揺す振られる。その瞬間を逃さず、音楽が心を鷲掴みにして更に大きく揺さ振る。映像には字幕が入るが、その文字よりも先に、流れる音楽で感動してしまった。
ラストシーン近くで主役の二人が抱擁するシーンでは、恥ずかしながら再び涙してしまう。そのときの二人の表情から、文字通り、「言葉は要らない」と思えたからだろう。
言葉を操る術も大事だが、どれだけの思いや感情を持てるかの方が大事なのかなと思った。それを伝える方法は言葉以外にもあるのだから。
言葉の応酬に疲れた方、自然な笑顔を取り戻したい方は必見。

